立山駅 25:00

黒部ダムによってできた黒部湖の奥地には平乃小屋という古くからの山小屋があって、そこからは対岸の針ノ木谷との間に渡し舟があるのをご存じでしょうか。

平の渡し舟
黒部湖の奥深い場所にある平の船着き場
対岸の右寄りが針ノ木谷の流れ込み

黒部ダムといえば誰もが知る存在でしょうが、その湖を遊覧する『ガルべ号』となると知る人は一気に少なくなるでしょう。

遊覧船ガルべ
この湖の奥深くに平乃小屋はある
見える山は赤牛岳と水晶岳(左奥)

そんな遊覧船どころか、さらに登山者の中でも一部の人しか知らなかったり、実際に乗ったことのある人となると、ほとんど聞いたこともない舟が黒部湖の奥深い場所で、今も運航しているのです。

乗船場へは黒部ダムの堰堤から向かうのが最短で一般的ですが、それでも湖岸を延々と約4時間も歩かなければたどり着けません。

霧の中の平乃小屋
9月24日写す

着いたところが平(たいら)と呼ばれるところで、湖岸にある唯一の山小屋、平乃小屋があるところです。

平乃小屋は同じ北アルプス山中にある山小屋であっても場所柄、小屋の主人はもちろん、宿泊客も他の小屋とはその存在を異にしています。

稜線の小屋なら、当たり前のように登山客しかいません。

おそらくは、ほぼ100パーセントが登山者でしょう。

沢沿いの小屋なら、場所によってはそれなりの客もいるかもしれませんが、それとも違います。

ここ平乃小屋の宿泊客は半数以上が釣りを目的とした客なのです。

目的はもちろん黒部に棲むイワナ。

小屋のさらに山深くにはヌクイ谷と少しダム寄りには中ノ谷があり、古くから小屋の人たちが代々イワナ釣りの場としてきた渓があります。

ここからさらに渡し舟に乗って対岸に渡り、左手に向かうと針ノ木谷。

乗船中
この便の乗客は3人、乗員3人 無料です

右岸側となった湖岸の登山路を右手にとり、さらに3時間程度歩けば、もう一つの釣り人御用達ハット、奥黒部ヒュッテに着きます。

ここまでくると黒部川上ノ廊下と呼ばれる黒部川のさらに上流を目指す沢登りのエキスパートや赤牛岳、水晶岳へと続く読売新道を目指す登山者しか訪れず、ある意味平乃小屋にも増してコアな存在です。

ここは黒部川本流と東沢乗越を源とする東沢が合流する地点でもあり、まさに釣り人憧れの地でもありますが、自身の足と舟も乗り継いだうえ、さらにかなりの時間を要することや、そもそもの登山ルートがメジャーコースから外れていることもあり、その数は高が知れています。

裏を返せば渓流釣りの中でも、それなりどころか、かなりの玄人しか来ないとも言えます。

ちょっと話が山と同様、奥深くなってしまいましたので渡しの存在についてはこんなところで終わりにしますが、要は、そんな黒部ダムの奥深くにある舟に乗るため立山駅までBMW440を走らせてきました。



関西方面から黒部ダムに向かうとなると、マイカーは立山駅までしか乗り入れることはできません。

必然に立山駅付近に駐車することになるので駐車場があるかどうか問題となりますが、そこは観光立県・富山。

立山観光と登山の拠点でもある室堂へ向かう多くの人を迎えるため、無料の駐車場が数多く用意されていますので、とりあえず置き場に困ることはないでしょう。

ここはあくまで、とりあえずです。

誰しも駅の近くに駐車したい気持ちは山々ですが、至近の駐車場はずいぶん昔に整備されたもので、一台一台の駐車スペースにやや問題があり、駐車場としての規格が近年の車事情にそぐわないものとなってしまっている現状があります。

隣り合わせで何台も駐車する形式なので最も端の通路に面した場所ならいざ知らず、それ以外では第三者の車と隣同士駐車しあわなければなりません。

これでは区画が狭くてドアを開けるのも一苦労で、気を遣います。

そもそもがハイシーズンともなれば、既存のこの駐車場だけではキャパ不足なこともあり、駅から離れた場所にも臨時的な駐車場は確保されていますが、いかんせん駅までの距離がかなり遠くなってしまいます。

グループで訪れた場合は、一度荷物を駅にデポしたうえ、再度駐車場に戻ることも可能でしょうが、一人の場合は、なかなかこうすることも勇気のいることで実行しづらいです。

そんな思いで立山駅に着いたのは雨の降りしきる9月22日深夜、25時を回っていました。

深夜の立山駅

明日から三連休とはいえ、到着が深夜だったのと連休初日の明日も天気は良くなく、回復するのは明後日以降との予報からか、駅から至近の駐車場でも十分空きがありました。

この状況に、決して惑わされてはいけません。

そもそもここを敬遠したいのは、駐車区画の狭さからくるドアパンチを避けるために他ならないからです。

千寿ヶ原1号公園駐車場
ご覧のとおり23日早朝の出発時の駐車場はガラガラだった

自身にすれば、今日から3日間という長きにわたり、隣に何処の誰とも、またどんな車かも分からない車が駐車することで不安な思いを持ったまま過ごすのを避けるため、駅までの歩行は目をつむりましょう。

で、前情報として、この上ない駐車場の情報をつかんでいたのです。

駅を至近に見上げる場所に最近になって整備された『千寿ヶ原1号公園』駐車場です。

乗り入れると広い駐車場に駐車車両は、この時わずかに3台。

何処でも置き放題状態で、目当てとしていたブースはもちろん空いていて、そこ以外にも駅までさらに近い、ここぞという場所を確保できたのでした。

早朝までに車両は、ほぼ増えることはなく、
「さすがに天気が悪い予報だと、こんなものか」

との思いのまま何の気遣いすることなしに2日後、下山して駐車場に戻ってみると、そこは驚きの光景がありました。

2日目、3日目の好天で、この駐車場も日帰りの車両で満車だったことをうかがわせる駐車車両があったのです。
下山時の駐車場の様子
白線の枠以外にも停めている車があることから、一時は満車だったことが想像できる

中央を横切るのが進入路 左奥にも駐車スペースがあり独立ブースがある

惑わされることなく、ここにして大正解でした。

おかげで3日間の山行中、駐車時のドアパンチの心配は全くなく、もちろん被害なし。

ドアの開閉、荷物の出し入れも自由自在で、下山後の荷物整理も問題なく終了しました。


立山駅近辺に駐車される際、お車の傷をご心配の諸兄は、ぜひこの記事を参考にしていただければ幸いです。

ロープウェーから望む針ノ木岳、七倉岳方面と黒部湖

ちなみに、平の渡し舟乗船に当たり奥黒部の紹介は黒部ダムからのルートを交え、ほんの短く書きましたが、そこまでの自身のルートはこれとは違う室堂から五色ヶ原を経て向かいました。

また、翌日は朝一の渡し舟に乗り、針ノ木谷を経て船窪小屋に上がり一泊、さらに翌日は蓮華岳、針ノ木峠を経て扇沢に下山。

扇沢からはアルペンルートで黒部ダム、室堂経由して立山駅へと戻りました。

山行詳細は ヤマレコ で

観光放水中の黒部ダムと黒部湖、赤牛岳
展望台より見下ろす黒部ダム、黒部湖と奥黒部・赤牛岳

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